蜘蛛の糸 5 [演奏するということ]

再びコンボのようなものも始め、知り合った人達とあちこちのジャズストリートに出た。ギャラを頂いての演奏活動も始めた。

リーダーの大変さは身にしみた。

メンバーの選定、チャージの設定、スケジュール調整、会場の交渉、集客、そしてステージの進行。終わればお客様の見送りをして、お店やスタッフさんへの謝辞、そして解散。夜は遅いし地元は遠い。もうヘトヘトになる。
それはそれは大変なのに、直前に「降ります」なんてあり得ないことを言う演者がたまにいる。そういう人にはもう声はかけない。信用の問題だ。言葉だけの約束。信頼。時に裏切り。
ギャラの割り振りについても、私がリーダーの時は、メンバーに少しでも多くお渡しできる様に心掛けていて、それはフロントもバックも関係なくするのだけれど、中には一円単位まで割り勘にする人もいる。中にはピンハネする人もいるそうだ。
集客に協力的なメンバーさんは有難い。演奏技術があればそれでいいのではないかと反論する人がいたとしたら、彼らにはスタジオミュージシャンの世界もあるわよと言いたい。
目の前で演奏するだけがステージプロじゃない。サイドマンは、ステージ上たまたまそういう立ち位置なだけで、一緒に演奏して盛り上げていくものでしょう?

当時演っていたジャズという音楽は、その日その日でメンバーが変わる事も多く、バンド内で色々相談したりぶつかったりというコミュニケーションが取りにくい。だからと言って、バンドがあればいいのかというと、そうとも言い切れない。技術力の違い、好きなジャンルの違い、妙な確執は、見ないふりしているうちに大きくなる。それぞれの持ち糸を撚り合わせて強くして、尚且つ協力し合うことで強靭な縄にしてこそバンドの存在意義はあるのに、己の糸の撚りは鈍らなまま、フリーライドしようとする人も出てくる。
もうひとつ。他所でも耳にするのと同様、恋愛沙汰を持ち込まれるのには閉口した。

沢山の方々に聴いていただいて、喜んでいただけるのは嬉しい。でもその為のあらゆる事を一人で背負うのは大変すぎる。
どうしたらいい?私はひとり苦悩していた。
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