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できない事はしない [演奏するということ]

件の疫病は、三年目に入ってなお収まる気配がない。もう考えるのも疲れる。
音楽に踏み込んでからの10年間は、切っても切っても次の展開が用意されていた。ここに来て、さすがにどんな展開も無くなったが。

実のところ、リーダーライブは大変なのだ。全ての手配、采配をしなければならない。呼ばれて歌って、ギャランティがあれば受け取り、お疲れ様でしたと帰れたらどれほど楽だろう。営業からマネジメントから経理からホストから。全てを技術者がやるのは無理だ。
音楽を続けるなら、できない事はしない。得意な事だけ。なので、ライブ活動はこのまま、期限なしの休止にするかも知れない。
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そして、出来る所で出来る人と、新たな活動を始めます。




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これから [演奏するということ]

コロナが世界中に蔓延した2020年。国外は勿論のこと国内の移動にも制限がかかった。諸外国は未だ対策に躍起になっている。日本だけが異次元のように沈静化していて、この隙に、とばかり、街には人が溢れている。
街が賑わうにつれて音楽シーンも徐々に復活している。でも、感染防止策を取りながらのライブは、人数制限あり、予約制ありでなかなか不自由だ。予約制は元々あったけれど、これまではドタキャンあり突然の来場者ありで、結構バランスは取れていた。しかし今はそうはいかない。入場者制限でただでさえ少ない来場者なのに、急にキャンセルが出るとお店が立ち行かないからだ。入場料も上がっているので、ふらりと演奏を聴きにくる人も期待できない。ライブは厳しい時代が続くだろう。

レコ発が終わった途端のコロナだった。ガラスの床をなんとか渡り切った途端に、「はい、時間切れ」と背後を爆破されるイカゲームみたいだと思った。

過去は過去。
ライブをしていたおかげで沢山の人に出会った。これは人付き合いの少ない私の財産だ。ただ、これから先、自ら企画してライブをすることはほぼないだろう。歌の発信は他の方法でするつもりだ。話はできている。

もう若くない。いつまで生きるか分からない。
苦手や嫌なことに、時間も精神も肉体も費やさなくてもいいだろう。音楽もブログも、基を正せば「歌いたい」「書きたい」という自然発生的な思いだ。その思いを叶える手段を、ここから先は絞り込んだ方法にしたいと思っています。

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蜘蛛の糸6 [演奏するということ]

どこに行けば答えがあるのだろう。
誰が答えを持っているのだろう。

本を読み、人と話し、あちこちに足跡を残した。
もしかしたらいい芽が出るかも知れない。そういう短絡的思考で蒔いた種は、見事なまでに目の前で色褪せた。反省した。神様は私の中にいてちゃんと見ているのだ。

不器用でも何でも私は私でいるしかない。

答えなどそもそも存在しないのだ。

歌いたい歌も、歌う場所も、演奏形態も、己の型でいい。私が私として一歩一歩積み重ねていくだけだ。

とはいえ、どうしても出来ないことはある。技術的なこと、能力的なこと。それよりも先にあるのが、皮膚感覚で受け入れ難いこと。生理的に無理なこと。我慢などしなくていい。避ければいい。

いつしか私が私でいられるようになってきた。

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蜘蛛の糸 5 [演奏するということ]

再びコンボのようなものも始め、知り合った人達とあちこちのジャズストリートに出た。ギャラを頂いての演奏活動も始めた。

リーダーの大変さは身にしみた。

メンバーの選定、チャージの設定、スケジュール調整、会場の交渉、集客、そしてステージの進行。終わればお客様の見送りをして、お店やスタッフさんへの謝辞、そして解散。夜は遅いし地元は遠い。もうヘトヘトになる。
それはそれは大変なのに、直前に「降ります」なんてあり得ないことを言う演者がたまにいる。そういう人にはもう声はかけない。信用の問題だ。言葉だけの約束。信頼。時に裏切り。
ギャラの割り振りについても、私がリーダーの時は、メンバーに少しでも多くお渡しできる様に心掛けていて、それはフロントもバックも関係なくするのだけれど、中には一円単位まで割り勘にする人もいる。中にはピンハネする人もいるそうだ。
集客に協力的なメンバーさんは有難い。演奏技術があればそれでいいのではないかと反論する人がいたとしたら、彼らにはスタジオミュージシャンの世界もあるわよと言いたい。
目の前で演奏するだけがステージプロじゃない。サイドマンは、ステージ上たまたまそういう立ち位置なだけで、一緒に演奏して盛り上げていくものでしょう?

当時演っていたジャズという音楽は、その日その日でメンバーが変わる事も多く、バンド内で色々相談したりぶつかったりというコミュニケーションが取りにくい。だからと言って、バンドがあればいいのかというと、そうとも言い切れない。技術力の違い、好きなジャンルの違い、妙な確執は、見ないふりしているうちに大きくなる。それぞれの持ち糸を撚り合わせて強くして、尚且つ協力し合うことで強靭な縄にしてこそバンドの存在意義はあるのに、己の糸の撚りは鈍らなまま、フリーライドしようとする人も出てくる。
もうひとつ。他所でも耳にするのと同様、恋愛沙汰を持ち込まれるのには閉口した。

沢山の方々に聴いていただいて、喜んでいただけるのは嬉しい。でもその為のあらゆる事を一人で背負うのは大変すぎる。
どうしたらいい?私はひとり苦悩していた。
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蜘蛛の巣4 [演奏するということ]

ほどなくバンドは自然消滅した。
どの位のイチを足せたかは判らないけれど、少なくともエラもサラも区別がつくようになっていた。女性ジャズボーカルのCDは片っ端から聴いた。サークルのイベントには引き続き参加をしていた。細い糸が消えてしまうのが怖かった。
ジャズセッションとかいうものがあると知ったのも多分この頃だ。ライブバーを恐る恐るのぞきに行ったが、最初の居酒屋に向かった時の不安感と比べたら雲泥の差だ(笑)。そこは私の全く知らなかった世界で、こういう楽しみ方をしている人達がいたのか、と驚いたものだ。
お店で知り合った人から別のセッションを教えてもらっては行き、またそこで会った人から聞いたお店に行き、、の繰り返しで、奈良 京都 大阪 神戸 滋賀そして東京まで足を伸ばした。

ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ(デラックス・エディション)(限定盤)(DVD付)


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蜘蛛の巣3 [演奏するということ]

というわけで、奈良盆地から一歩外に出たお陰で、バンドができた。ジャズ好きの人、ボサノバ好きの人、フィージョン好きの人、ごちゃ混ぜのバンドが始まった。ジュリーロンドンの声に似てるねと言われてアルバムを買い、ボサノバを教えてもらい、そのリズムの難しさに苦悩した。エラもサラも判別できず、インプロビゼーションに至っては、何ですかそれ?という有様だった。

それでもゼロよりは大いに前進だ。

月に一度の練習日はとても楽しかった。


プレミアム・ツイン・ベスト クライ・ミー・ア・リヴァー~ベスト・オブ・ジュリー・ロンドン


ザ・ルック・オブ・ラヴ



エラ・アンド・ルイ


サッシー・スウィングス・ザ・チヴォリ


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蜘蛛の巣2 [演奏するということ]

居酒屋までは遠かった。
それは奈良からの距離ではなく、楽器の演奏を楽しんでいる人達と出会うまでの時間だ。

既に四十路に入っていた。日、一日と年をとる。行動するなら早い方が良い。でも何をしたらいいのか。
ホリエモンは「なにもない自分に小さなイチを足していく」と言ったけれど、私の小さなイチは何なのか、何処にあるのか。バンド活動は学生時代だけで、周りには音楽と繋がる人は誰もいない。本当のゼロだった。

ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく

交流会には同じ年頃の男性が数人、離れた席におられた。でも特にお話しする事もなく、そのまま帰宅した。
見るにみかねたサークルの方が、勝手にバンドを作ってくれた。

「この人たち、放っておいたらずっと何もしないから。」

ご明察。

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蜘蛛の巣1 [演奏するということ]

何気にパソコンを触っていた時のこと。回線のとんでもなく遅い頃のお話。
バンドのサークル活動団体の画面が出てきた。

「あ、世間にはこういう団体があるんだわ。」

とはいえ、営利目的ではなかろうか、変な勧誘されないだろうか、等々不安は山のようにある。ネットは怖いと思っていたし、怖がりなくらいで充分なのだが。

「交流会があるのか。、、怖いけど行ってみよう。早めに行って場所を確認しよう。おかしな所ならそのまま帰ろう。いつでも逃げられるように出口の近くに居よう。」
と、訳の分からない怖がりようで大阪の会場に向かった。そこは居酒屋だった。

何が怖い!

大笑いである。

とはいえ、お店は完全にキャパオーバーで、参加人数に行き渡る席はなかった。主婦には安くない会費を払ったのに、飲み物も食べ物もロクに無かったのを覚えている。今思うとやっぱり怖い笑笑。

社会人限定のサークルとはいえ、殆どは二十代と三十代の若者達で、四十代となると流石に数えるくらいなものだった。食べ物も飲み物も殆ど口にできない(まだ言う)ギュウギュウ詰めの席で、私は所在無さを感じていた。(続く)
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