外科的治療から内科的治療へ [癌と経過]

 放射線治療は長丁場なので、途中で例えば風邪ひとつ引いても、治療は延期される。冬場など、インフルエンザにかかってしまい、長く休まざるを得ない方もおられると聞いた。季節柄、私は幸いにしてそういうこともなく、あるいは真夏で、身体に書かれたインクが汗で流れ落ちることもなく、スケジュール表通りに治療が終了した。

 乳腺外科の診察が再開したのは、最終治療日から2週間ほど間隔を置いてからで、上記のようなイレギュラーが起こった場合を想定して、予備日を加えてあるからだろう。スケジュールも含めてあれこれ考えられてあるのだなぁと、冷静に振り返ってみて静かに驚く。

 さて、ここからは女性ホルモン抑制の治療が始まる。
 飲み薬を今後五年間続けるというものだが、女性ホルモンの減少を促す治療は、しかし、骨粗しょう症になる可能性も高く、今日はその検査があるという。検査結果は患者にも渡して頂けるので、自分の状態が判るのはありがたい。今回の検査によると数値は正常範囲内で、加えて他のお薬を処方していただく必要はなかった。骨粗しょう症予防薬だか何だか、というものもあるそうで、いまや痒い所に手が届くのだと、ここでも静かに驚いた。

ひと月服用してから再度血液検査を受けた。こちらも異常なし。投薬による目立った影響もなく、このまま服用を続けながら定期的に診察を受ける生活に突入したわけだ。

 病院に行くことはここから先めっきりと減る。徐々に今までの生活が戻ってくるだろう。しかしながら、一旦は命の締切りを突き付けられたことを私は忘れてはいけないと思う。
 お薬は1日1錠。1年で365錠、5年で・・・。そのうち慣れますと言われても、まだまだ副作用のあれこれは身体に生じている。思うように動けない日。前日の分を取り戻すかのように、活気づいて活動する日。またまた寝込む日。波はあるが、少しずつ確かに回復している。薬が1つ減るごとに1日が終わるのを、ひとつの目安のように思う自分がいる。

 ステージ1、転移なし。
 早期発見による恩恵を受けたと思う。しかし、一瞬とはいえ命の締め切りを突き付けられたことは、私の大きな転機となるであろう。漠然とした希望を目の前にしながら、このまま掴み切れずに人生が終わってしまうのか。私は何をしてきたのだろう。もう手に入らないのか。流し台を前に悔し泣きした日を、私は忘れないようにしなければと思うのだ。 
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